第436話 加藤塾にようこそ〜ずっこけ三人組ツアー秘話〜其の5

加藤さんを見ているとわたしは遠い夏を思い出す。
小学生の頃、カブトムシやと思って育てていた幼虫がなんだかよくわからない見たことのない虫に成虫した、あの夏を。
加藤さんのお母さんもそんな気持ちなんだろうなって。




(オマエ、親指に似てるな)



ライブが終わり、宴会がはじまる。
そして、夜はふけ、あいちゃんの家に移動する。
あいちゃんの家に泊めてもらったわたしたち。
急遽ひとり泊まる人が増えたため、布団がワンセット足りなくなり安田さんが車中泊となった。
この事を加藤さんはどう思っているのか。
この事には敢えて言及はせず、加藤さんの宿題にしたい。



朝、ひとりずつ目を覚ましていく感じが夏合宿の風で懐かしい。
今日は特にタイトなスケジュールでもないので、
あいちゃんの娘のあさひちゃんと遊ぶ。
なぜか、あさひちゃんは加藤さんによくなついている。
あさひちゃんはミッキーマウスが大のお気に入り。
ミッキーマウスの真似をする加藤さん。
あさひちゃんも大喜びだ。
加藤さんのダメなところが盛りだくさんだったこのツアーだ。
加藤の盛り合わせに辟易していたこのタイミングでやっとの手柄。
そんなタイミングで加藤さんがおもむろに口を開いた。


「・・・あと、ドライヤーを壊してしまいました。」



(ドライヤーを壊した時の顔) 


まだ具あったんかい。


何種盛りやねん、
えらい、丁寧に盛り付けたな、だがしかし、加藤ばっかりそんないらんねん!
色んな味の加藤で盛りだくさん。
全部味付け濃いっ濃いねん、
このタイミングで、一番和んでる、加藤さんが活躍してあさひちゃん喜んでる、このタイミングで!
何を相殺図っとんねん!
「あと」てなんやねん、「まず」謝らんかい!
ほんで、何をドライヤー壊すことがあるねん!
風が出んくなったとかじゃなく、持つところ折っとんねん、
逆に戻そうとしとんねん、
オマエが今、その手で、持つところを開いたんちゃうかい、
そのまま戻さんかい、
なんで逆に戻そうとすんねん!
どんなやつやねん、前代未聞やて!
「どうするんすか?」聞いたら、


「送ります、家で使ってるやつ・・・」



(家で使ってるドライヤーを送ることを思いついた時の顔。もちろん代引きで)


オマエんちのかい!



買えや!
なんで中古やねん!
嫌やわ、おまえの髪の毛を・・・おまえとおまえのおかんの髪の毛を乾かし続けてきたドライヤーなんて!



(オマエはもう髪の毛を乾かすな・・・オマエの後ろでジジィふたりがキスしようとしてんぞ)



今回の件に酷似した『Caboの扉事件』っていう怪談話がありまして。
もちろん登場人物は加藤なわけでして。
大阪は中崎町にあるCaboという服屋カフェバー(なんのこっちゃ)で起こった事件なんですが。
夜のバー営業に飲みにきてた加藤さんが帰りしなにcaboの入口の扉を、
ホンマは押さないかんのに、おもくそ引いて扉を外すっていう凶悪事件なんですが、
ここからは話が怪談話になっていきまして。


「明日朝一で直しにきます。直らなかったら業者呼んで、そのお金負担します」


って加藤さん約束するんですが、
もちろん翌日何時になっても来ないわけです。
店主、おかしいなぁ、おかしいなぁ、なんか変だなぁって思うわけじゃないですか。
店の扉がないともちろん困るんで、
変だなぁ、変だなぁと思いながらも我がの采配で直したわけです、
そうゆうの直せる友人にたのんで直してもらったんです。
(もちろんタダというわけにはいきません、店主の気持ちがね)
その後、加藤さんからは何の音沙汰もなく、おかしいなぁ、おかしいなぁ、と思いながら何週間か経ったある日、
店主、加藤さんとたまたま町で遭遇したんですって。
店主、一応報告しますよね、「扉直ったで」って。
そうしたら、加藤さん一言、


よかったですね」




(ギャーーーーーーーーッ)



え?


わたし、加藤さんに聞いたんです。
なんで翌日行かなかったんですか?って。
ほな、「行った」って言うんです。
わたしの聞いてる話と違うんで、
ホンマですか?って聞いたら、


「・・・前は一回通った」



(前は一回通りました、の顔か?腹立つ顔やな)


それ、犯人が一回現場に戻ってくるやつや。


工具は持ってたんですか?
持ってないですよね?
そんなん意味ないじゃないですか、
店主には挨拶・・・してないですよね?
・・・ホンマに前通りました?
・・・・・・・通ってないですよね?
なんで8秒後にバレる嘘をつくんですか、
加藤さん、えぐいです。
えぐみ出てます。
加藤SAY(加藤は言った)


「あんな簡単に取れる扉もどうかと思うで」



(取ったドーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!)


オレもおれだが、ドアもドアだと?


ドン引きやわ。
加藤さん・・・ほんで結局あいちゃんちにドライヤー送ったんですか?
そうですよね、送ってないですよね。
原田茶飯事くんの話を少ししたいんですが、
原田くん大阪に来るときはちょいちょいボクの家に泊まるんですが、
ある日原田くんからドライヤーが届いたんです。
「いつも泊めてくれてありがとう。ドライヤーの風が弱すぎると思ったので」って。
原田くん、ドライヤー壊してないのにドライヤーくれたんです。
それはそれでまぁまぁ気持ち悪いんですけど。
ちょっと引きましたけど。
加藤さん、何が言いたいかわかります?
間がちょうどいいって話です。
壊したのに送らへん、これカスです。
壊してないのに送ってくる、ちょっときしょいです。


・・・壊したら、送らんかい!