第444話 沖縄珍道中 其の一

昨夜のお酒がまだ残っている。
僕たちは沖縄にいる。
那覇から車で1時間半。
本部(もとぶ)の港から船に揺られること30分で今回の滞在地伊江島だ。
10月の沖縄にはまだ夏が残っている。
そして伊江島には何もない。
島の中心にそびえる岩山、そしてとにかく澄んだ海、だけがある。
わたしは何もしたくないのだ。
都会の喧騒を離れ、ただ海を眺め、そして寝る。
わたしは、何もしないをしにきた。
洞窟を抜ければ海だ。







わたしは何もしない。
浜辺に寝ころび、何を考えるでもなく、ただただ海と空を眺める。
そこには風が吹き、夏の太陽が照りつける。
遠くからはセミの声がk・・・


「はい、恒例の春ちゃんク〜〜イズ!!」




(全部の指にとんがりコーンをはめるのがオレの楽しみなのさ〜〜)



「昔、ペルシャの国の王様がキチガイで毎晩一緒に寝る女を殺してました。そしてある日、すごい物知りの女の人がやってきて王様に物語を聞かすねんけど、その物語がむっちゃおもろくて、王様は次の話聞きたいからその女を殺さず毎晩部屋に呼ぶねんて。その物語がいわゆるアラビアンナイトやねんけど、その物語の中に暴れん坊の猿が出てくるねんけど、その猿をある楽器で鎮めました。さて、その楽器はなに?」



「エレクトーン」




(シュコー、シュコー)


なぁ、おめえらアッチ行ってくんねえか。


エレクトーンなわけねえだろって!
アラビアンナイトだっつってんだろ、アラビアンナイト
空飛ぶじゅうたんだとかよ、
魔法のランプだとか、そういった世界観、あんだろが!
なっ、お願いだから、おめえらアッチ行っててくれ、
おれ、色々忘れてゆっくししてえんだって、
伊江島の夏い大自然の中で、のんびししてえんだって、
お願いですんで、バカの皆さんは冬眠の方向でお願いします。




(シュコー、シュコー、続いてしまう!)