第452話 加藤の場合 2

最近、昼のジョブ場が忙しい。
メーカーを相手に段ボール20箱分の商品の卸しなども珍しくない。
新人さんも二人採用して万全の態勢で臨んでいるのだが、
それでも毎日仕事に追われている。
だが、忙しい分給料にも反映されるのでモチベs・・・


「今、下に自転車撤去がきてるみたいなんですが、ちょっと見てきてもいいですか」




(おめえが撤去されちゃえ)



・・・加藤さん、別に構わねえんですけど早く帰ってきてくださいね。


「なんで、みんな気にならないんですかね」


皆さん、仕事をしてるからじゃないですかね。
加藤さんだけですよ、自転車のこととか言ってんの。
あとボクも含め、駐輪所に入れたり、自転車撤去されない場所とかを選んでみんなとめてるんじゃないですかね。
それじゃ、加藤さん、早く帰ってk・・・加藤さんエレベーター待ってるのはいいんですけど、
お客さんきたはるの対応してますか?
え?気づかなかった?
あんた、お客さんの前通ったんちゃうんすか?
何を気づかないことがあるんすか、


・・・加藤さんってほんまに自分の自転車が一番大事なんですね。



(撤去すんぞって)


メーカーさん来たはるのに素通りして、
自分の自転車に一目散ですか?
ホンマにええ加減にしてくださいよ、
あんた、いつまでイモムシやねん、
カブトムシじゃなくていい、クワガタムシじゃなくてもいいから、ハヨ成虫せえよ、


飛ばんタイプの虫であれ






加藤さんにシールを剥がすっていう仕事をしてもらっていた。
ひと箱に6個ずつ商品が入っているのだが全部に剥がさないといけないシールが貼ってあるので、
そのシールを剥がしてまた箱にしまっていくという仕事。
難易度Gの任務なのだが、加藤さんに遂行できるのか少し心配だ。
なので、注意点をいくつか説明してとりかかってもらった。
数分後、


「これなんですかね?1枚余るんですけど・・・」




(はい、撤去の人〜、こっちこっち〜)


あんたが今出してたやつや!


あんたが今、その箱から出してシールを剥がして、そしてしまい忘れとんねん!
何やったらできるねん、
あんたは、何やったらできるんすか、
加藤さん、志村動物園に履歴書送ってください、
全部ひらがなでいいんで、
ほんでね、あんたオーバーオル着て、犬のジェイムスくんとお遣いに行ってきてください、
そのお遣いがちゃんと出来るようになったらまた一緒に働きましょうよ、
ねっ、加藤さん。
だってね、加藤さん、商品入れ忘れてそのまま発送してしまったらどうなるんですか?


「誰がやったんやってなって、ばれたらボクが怒られます」



(ボクが怒られます)



加藤さん、小学生ですか、
加藤さんは小学37年生ですか、
普通は小学校を6年で卒業して中学、高校、大学と進んでいくんですけど、
加藤さんの思考回路は完全に小学生ですか、
加藤さん、あんたは怒られるけども、それは一番最後や、
まず、お客さんに迷惑がかかるでしょ、
そしてクレームの電話がかかってきて対応に追われるでしょ、
次にリーダーのボクが怒られるんです、
それからや、あんたが首がちぎれるほど怒られるのは。
ホンマ自分の事しか考えられないんですね、加藤さんって。
知ってましたけど、ちょっとショックです。

なんとなくで生きていくのやめましょうよ、
色々考えて、色々勉強して、生きていきましょうよ、
何も考えずなんとなく生きてるなんて、そんなん植物のすることですよ、
あんた、植物ちゃうやろ、
光合成もすることなく、うんこと二酸化炭素だけ出して・・・
そんな生き物はこの地球(ほし)にいらんねん。


「2016年は頑張ろうと思います」



(2016年こそ)


明日から頑張ってほしいねん、
あと1ヶ月半我慢すんの嫌やねん。