第457話 年末におもう 前編

2015年が終わろうとしている。
加藤さんのくだらなかった2015年もまた然りだ。
今年の汚れ今年のうちにと申します。
一年かけてドロドロに汚れた加藤さんの2015年。
雨にも負けて風にも負けたただのデクノボウになっちまった加藤さん。
雨に負けること、風に負けること、もう画用紙みたい。
ズブズブになってヒラヒラヒラヒラ飛ばされて。



(へへっ・・・画用紙だって・・・)


お昼間の仕事を加藤さんと一年一緒にやってきてボク、驚愕してます。
ボクは加藤さんに直接指示を出す立場にいてるのですが。
こんなことがありました。
お昼間、我々は通信販売の出荷業務をしてるのですが、
主に佐川急便と郵便局が配達してくれるんですが、

「加藤さん、佐川急便の作業はおいといて郵便局のんに取り掛かってください」

っていう指示を出したんです。
ほな加藤さん、「はい」って言うてそのまま佐川急便を続けるっていう。
「加藤さん、なにしてるん、聞こえてなかったん?」
言うたら、


「すいません、聞こえてました・・・聞こえてただけです。」



(聞こえてただけのひと)


なに?なになん?聞こえてただけて。
聞こえてるだけ?
わからんわからん、むっちゃ怖いんですけど。
「佐川急便の作業はおいといて郵便局のんに取り掛かってください」っていう指示が聞こえたら、
佐川急便の作業はおいといて郵便局のんに取り掛からないと。

「ちょっと席外すからこの荷物見といてな」って言われたら荷物見とくだけやったらダメなんですよ、加藤さん、
「あれ?荷物は?」
「見てましたよ、なんだか人相のあまりよくない人が持ってちゃいましたけど、ようく見てましたよ」
ではダメなんです。
持って行かれないようにしないと、それが荷物見とくって意味なんで。

昼休憩に入った瞬間にメガネつけだした時もありました。
「あれ?なんでメガネつけるん?」って聞いたら、
「よく見えないんで・・・」


仕事中によく見えとけよ。



なんでお弁当をよく見たいねん、
仕事中によく見えとけって。
こんなんだらけ。
なんか加藤さんと関わってると信長の野望を思い出すんですよ。
信長の野望でさわったことない武将を。
戦場にも連れて行けへんし、内政も担当させられへん、武将を。
こいつに何をさせたらエエねんっていう武将。



(知略1)


信長の野望やったらさわらなかったらいいだけの事なので構わないんです。
ただお仕事は信長の野望ではないので。
このどうしようもない武将を操作せねばならんのですよ。
いやいや、ホンマに使い道がない。
加藤さんに「加藤さんのいけないところってどこや思いますか?」って聞いてみたんです。
即答で、なんやったら食い気味で答えはりました。


「決断力のないところですかね」



(そうじゃねえぞ)


違います。

加藤さん、違います。
加藤さんに決断力なんて誰も求めていないです。
何を食い気味できてくれてるんですか、
そして、何を的外れな答えを用意してくれてるんですか、
加藤さんのいいところをひとつ教えてあげます。
松井くんからのお年玉です。
加藤さんのいいところ、それは『自分よりずいぶん後に入ってきた後輩に何の躊躇もなくものを聞けるところ』です。
なかなか出来ることではないと思います。