第220話 恋はいつも幻のように

わたしは目を疑った。
そしてわたしは考えていた。
なぜ?なぜに?

なぜこんなにもうんこがはみ出てるんや。

今日はボロフェスタ
よく晴れた日曜日。
御所の緑がまぶしい。
午前10時、会場のKBSホールにわたしは到着した。
そして楽屋に案内され、うんこをしようと思いトイレに入った。
そしてわたしは見た。
便器を出でて三寸ほどはみ出したる、ソレを。
わたしは不思議であった。
楽屋に一番乗りのはずであるわたしの前になぜソレが?
いや、わたしは知っていた。
わたしは楽屋に入る一刻前、KBSホールでサウンドチェックをしている二人の天才を目撃していた。
すなわち、わたしの前に楽屋に到着している者の存在を確認していた。
わたしの前にトイレに入ったであろう者の事を。

ホフディラン

いや、違う、わたしは犯人探しがしたいわけではない。
疑わしきは罰せず。
それにわたしはつい一刻前、彼らのメロディに涙していたではないか。
広いKBSホール。
二人の天才の歌声はわたしの胸に響いた。
わたしは犯人を探したいわけではない。
そこにメンバーの上月氏が楽屋に到着し、
荷物を置き、トイレへとむかった。

まずい。

わたしは思った。
この状況は非常にまずい。
月氏ホフディランが先に楽屋入りしサウンドチェックをしていることを知らない。
このままではわたしが疑われる。
わたしは方針を変えた。

疑わしきを罰する。

それもフルスイングで。
月氏が帰ってきた。
わたしを見る目が怪訝だ。
それはそうだ、彼はわたしを疑っている。
しかし彼も紳士である。
わたしを問い詰めたり、
わたしを責めたりはしない。
わたしは口を開いた。

「トイレ見た?すんごいうんこはみ出てたやろ、考えられへんよな、誰やねん!いや、オレがトイレ入ったらもうはみ出しとったんやって、さっきな、ホールの方でホフディランがリハしとったんやんか、あのうんこな、ホフディランのどっちかやで、だってあいつらしか楽屋使ってへんねんもん、ホンマ考えられへんわ!どっちや!ホフか!ディランか!」

皆さんはこんなわたしをどう思うだろうか。
皆さんはこんなわたしを責めるだろうか。
あの二人の天才を貶めたわたしを。
しかし、神はわたしを許しはしなかった。
言葉を続けたわたしに天罰がくだった。

「ホンマ、ホフディランはどこに肛門つけとんねん!」

はっ、ベイビー・・・!!

「太ももにでも肛門ついてへんとあんなとこにうんこ落下す・・・ベイビー!」
わたしと上月氏のいる楽屋の前をワタナベイビーがおもっきし通っちゃって。
なんか言わないとって思っちゃって、わたし。

「いや、たぶんユウヒやで、あのねっちゃり感は、あれはユウヒや・・・」

殺してくれ〜!

もちろん、ユウヒもおった〜、
やっぱりか〜、
そうやおもた〜!

よく晴れた日曜日。
御所の緑がまぶしい。
今日はなんだかブルースが歌える気がする。