第447話 沖縄珍道中 其の四

猫がついてきて困る。




伊江島三日目の昼下がり、わたしは一人で散歩に出かけた。
海へとむかっていたわたしの足元に小さな小さな仔猫が転がり出てきた。
生後1か月ほどだろうか、ヨタヨタと足元もおぼつかない。
わたしの足も、モチロン止まる。
少し猫と遊ぶわたし。
こうしていても仕方ないので海へとむかうわたし。
そんな、わたしの後ろを仔猫はついてくるのだ。





しかし、連れて帰るわけにもいかない。
途方に暮れたわたしはみんなを呼び出した。







やはり、ついてくる。
つらい、切ない選択の時間だ。
猫との別れ。
僕たちは出会った、出会ってしまった。
だけれども、住む世界が違うんだ。
僕は大阪へ帰るし、おまえはこの伊江島で自由に生きていく。
すごく、切ない。
でも仕方がないんだ。
そんな声で鳴かないでほしい。
なべちゃんの目も潤んでいる。
一番こいつと遊んでいたなべちゃん。
こんなにも別れがつらいだなんて。
でも、出会えてよかったよな、なべちゃん、
オレもなべちゃんも、おまえと出会えt・・・



「あー、目ぇ痒っ、おれ猫アレルギーやねん」





(おめえは猫と遊ぶ時もシュノーケルつけてろ、バカ!シュコーシュコー言ってろ!)



アッチに行ってて、ねっ、お願い!



おれ、今すげく切ないお別れしてっからさ、
バカはアッチ行っててくんねかな、ねっ?






切ない気持ちのまま車に乗り込む。
車は伊江島の西の端へと向かう。
途中、バカ(春本)が二回猫をひきかけた。
切ないのはオレだけだ。
伊江島から見る夕焼けは最高なんだ。
海に沈む夕日をおれはずっと見ていた。
もう会えないだろう、あいつのことを考えたりしながら。
時間はゆっくりと過ぎていく。








そう、時間はゆっくりと過ぎていき、
その瞬間がやってくる。
太陽が海にとけてゆく。
ジュっと音がするような、そんな瞬k・・・








たのむ!今だけ!アッチ行っててくれ!





(続くな!)