第205話 寝屋川少年愚連隊

ペヨーテ(というバー)の夜は更けて、
店内にはオバ(というDJ)と本田さん(という中年ウエイトレス)とあうんさん・すぅじぃ(というロック歌手)の三人が残った。
もちろんすぅじぃは文無しだ。
そろそろお開きかなと思ったその時、オバが言うた。

「すぅじぃ、この前のワンマン最高やったで、一杯おごるわ」


(かっこいいぜ、オバ!)

オバ「何飲む?」
すぅじぃ「オバ、何飲んでるん?オレはおごってくれた人の飲んでるものに合わせる主義やねん」
(さすが、おごられ慣れている)
オバ「オレももう一杯注文しようとおもててん、何しよかな」
すぅじぃ「なに?チューハイ?」
オバ「いや・・・レッドアイにしよかな、レッドアイくださ・・・」

すぅじぃ「おれレッドアイってゆう気分じゃないねん」


(え・・・?)

すぅじぃ「チューハイをプレーンで二つ」

おいおい、すぅじぃがおごってるみたいになってるやん。
オバも良くないと思う。
だってここからだ。
ここからだ、すぅじぃにエンジンがかかったのは。
すぅじぃと本田さんは地元が同じ寝屋川で小中と同じ学校だったらしい。
(学年はすぅじいが二つ上です。)

「オレってヤンキーやったやんか」

初耳だ。
すぅじぃってヤンキーやったんや。
確かに寝屋川ってガラの悪いイメージがあるし、
すぅじぃって年代的にヤンキー全盛期やもんな。
人は見かけによらないって言うけど、
まさかすぅじぃが昔悪かったとはなぁ。
すぅじぃに学生時分のあだ名を聞いたところ、

「兄貴って言われてたで、オレ」

「色々アレンジされて『兄者』とかも言われてた」
これはヤバいで、相当や、
寝屋川であの世代であだ名が『兄者』。
これは相当なワルやろ!
本田さんがなぜかモジモジしだした。
なんと本田さんのお姉ちゃんとすぅじぃが同級生で本田さんはすぅじぃの卒業写真の画像をもっているらしい。
ウソ!すごい期待できるやん!
見せて!見せて見せて!


(兄者〜!)

え〜っと・・・アスパラガス?

これはアスパラガス?
アスパラガスの人?
すごい標準服やん。
誰よりも標準服やん。
あれやん、『兄貴』ってあだ名、いじられてたタイプのやつやん、
「よっ、あ〜にきっ!」とか言われていじられてたソレやん。
とりあえず、謝って。
オバに一番謝って。
あと、それから小銭持ってたらナンボでもエエから置いていってね。

〜続く・・・のか?〜