第208話 狂犬の憂鬱

『十三の狂犬』こと、かをり嬢(?)が携帯を見つめながら深めのため息をひとつ。
「ハァ〜〜〜〜っ・・・・」


(ハァ〜〜〜〜っ)

どないしたんすか、そんなため息ついちゃって、
「ゲップ!バイトの店長からすごいテンションのメールがきたんや・・・ゲップ!!」
大きなゲップだ。
かをりさんはボクと同い年で今年28歳の女性(でも、早生まれなので学年は今年29歳の人たちと同じなのだ。)で、動物占いでは安岡力也。
・・・多分女性です。
ちょっと自信を持っては言えないんですが、おそらく女性です。
職業はパチンコ屋店員、
生まれながらのパチンコ屋店員なんですが、
そのパチンコ屋の店長からすごいテンションのメールがきたらしい。
そのメールがこれだ。

『全然大丈夫じゃないけど…社長は、売り上げ悪くなって人件費を削れとか休憩をさせるなとかうるさいし、おばはんは、出勤時間を聞きもせずに新古の時は、平気で17時出勤してくるし、離婚に向けて金銭で揉めて財産分与でかってに弁護士と相談して日曜日に面会しなあかんし、今さっき、何故か鼻血が出て来て鼻のあな両方にチィシュ詰めて息できないし、永岡の顔見てないし、いじめることできないし、最悪!』ながっ!

ほんでなんちゅう気の滅入る文章や、
ちなみにこのメール『体調大丈夫なん?』への返信らしいんですけど、
(店長にため口はやめなさい)
メールの返信、はじめの10文字だけやん、
あとは我がの近況の愚痴やん、
知らんがな!
「全然大丈夫じゃないけど・・・」以降全編『知らんがな』なんですが、
「何故か鼻血〜」のくだりが一番『知らんがな』やわ、
ほんでかをりは何てメール返すんかなぁ、ておもてたら、

『了解』

って。
店長、さぞかしがっくしきたやろな、
(ちなみに『がっくし』とは、がっかり、がっくり、がっくしっていう三段活用の最上級やからね。)
どれに対しての『了解』やねん。
ただ、この面倒くさいメールへの返信として、
上司からのメールへの返信として、
この潔さは素晴らしいと思います。


(了解)

〜余談〜
ボク、高校を4年行ってるんですがその事をかをりにバカにされるんです。
「高校4年行ってるやつに言われたないわ、ゲップ!」てな具合に。
まぁ、ボクは確かに高校4年行きましたわ、
ちょっとした手違いで4年行くことになってしまいましたわ、
ゆとり教育受けたわけではないんですが、
ゆとりを持って通学していた結果ですわ。
しかし、かをりには言われたくないっちゅうねん、

高校1年しか行ってないやつには言われたないっちゅうねん!


(それは知らんけど)